- Jealousy In Love(7) -



「ゆい」
耳に馴染んだ呼び方に、何かを思うより先に体が条件反射で振り向いてしまった。穏やかに響く声の甘さに、警戒するのが遅れたことを後悔してももう遅い。
「……義貴、先生」
他に呼びようもなく、忘れてはいない名前を呼んだ。目元を細める長身の紳士から距離を取ろうと思ったが、察したように素早く肘の辺りを掴まれる。
「相変わらず顔色が悪いようだね? 具合が悪いなら、言ってくれれば往診に行ったのに」
特に具合の悪いところなどなかった。もし顔色が悪いのだとしたら、思いがけず義貴に会ってしまったせいに違いない。軟禁が解除されて初めての外出だというのに、早速アクシデントに見舞われそうな気配に、軽く眩暈を覚えてしまったせいだろう。
「すみません、どこも悪くありませんので失礼します」
やんわりと腕を解こうとしたが、義貴は放してくれそうになかった。
「大抵の場合、自覚症状が出てからだと手遅れなんだよ? いいから一緒に来なさい」
口調は柔らかいのに、なぜか振り払ってしまえない雰囲気があった。腕を掴まれたまま、通りへ連れて行かれてタクシーに乗せられる。行き先を告げる声に、急激に心拍数が上がっていくのが自分でもわかった。
「あ、あの、どうして……?」
「病院は嫌いだと聞いているからね。落ち着いて診れる所の方がいいだろう?」
尤もらしい言葉を鵜呑みにしていいものかわからず、優生は対応に困ってしまった。淳史も世話になっていて、俊明の父親だという男をそうそう無下に扱うわけにもいかないような気がして。
「すみません、でも、淳史さんに聞いてからでないと……」
優生が家を出る前に外出すると打ったメールに、淳史からの返事は、早めに帰ることと帰ったら連絡することという内容だった。今日は勇士と連絡が付かなかったから、誰かと一緒だとは言っていない。予てからの約束で、他の誰かと会う場合は淳史の了承を得なければいけないことになっていた。
「工藤くんは会議中だよ」
「え……」
驚いて見上げると、吐息が触れ合いそうなほど間近に義貴の瞳があって焦った。いくら車内といえ、なぜこんなにも近いのだろう。
「君に会う少し前に、用があって会社にかけたらそう言われたからね」
帰る口実を見つけられないまま、タクシーは高層マンションの前で停まった。逃げるなら今しかないと思うのに、その方法が見つけられない。
「あ、あの、俺、本当にどこも悪くないんです」
「それは診察してから私が判断することだよ?」
とんでもなく強引な医師に、優生はもう言い逃れる言葉が思い付かなかった。
また腕を取られて、促されるままにロビーを横切り、エレベーターに乗せられて、義貴の所有するらしい部屋へ連れていかれてしまう。
あまり生活感のない玄関からは、全くといっていいほど女性の気配も感じられず、少なくともここで他の誰かと生活しているようには見えなかった。花も装飾品もなく殺風景なのは、おそらく、自宅とは別に持っている部屋なのだろう。
一時的に過ごすには不要なほどに広いリビングに通されると、非常用の場所というわけでもないことが窺えた。ソファの肘掛には毛布とカーディガンが掛けられていて、テーブルの上には新聞や雑誌や、大小さまざまな封筒や書類の用紙が所狭しと積み上げられている。雑多なようでいて、散らかっているというわけではなく、むしろ几帳面なのかもしれないと思わせる程度には整理されていた。埃をかぶっているわけでもなく、近付いて見ると日付も新しい。
もしかしたら仕事に使っている場所なのだろうかとか、もう夕方近いというのに今日は診察はないのだろうかとか、次々に疑問は湧いてくるのに、優生の方から問う気にはなれなかった。
「いつまでも立ってないで掛けなさい」
ベッドとして使っても差し支えなさそうなゆったりとしたソファへと促されても、腰を下ろすのは躊躇われた。
所在無く立ち尽くす優生を追い詰めるように、義貴が長身を屈ませて顔を覗き込む。
「傷はもう治ったのかな?」
「え……」
“傷”という言葉には心当たりがなかった。往診に来てくれたのは、優生が熱を出していたからではなかっただろうか。
「この間往診に出向いたのは、工藤くんからパートナーに対してレイプ紛いのことをしてしまったから診て欲しいと相談されたからだよ。話を聞いた限りではたいしたことはなさそうだったし、君があまりに嫌がるから断念してしまったけれどね」
いくら相手が医者とはいえ、まさか淳史が他人にそんな話をするとは思ってもみなかった。だから、義貴は意味有りげな言葉を使ったのかもしれない。
真っ赤になる優生の腰へと伸ばされる手にビクリと震えた。慌てて引こうとしたが間に合わず、義貴の両手に掴まれてしまう。
「本当に細いね。工藤くんが壊してしまいそうだと心配するのも頷けるよ」
「いや、触らないで」
ベルトにかけられた手に、腰を捩って抗う。もう優生の自意識過剰とは思えず、純粋に診察が目的だと信じることはできなかった。
「本当に、見た目に似合わない強情な子だね」
優しげな双眸がスッと細められたかと思うと、二の腕辺りを掴まれるのとほぼ同時に足元が払われて、体がふわりと宙に浮く。軽く投げ技をかけられた体がソファへ落とされた。上体を起こす間もなく、乗り上げてきた義貴に体重をかけられる。まだ何が起ころうとしているのか認めたがらない思考が、強く抗うのをためらわせた。
「どうして、こんなこと……」
「私の息子を誘惑しただろう? おかげでお嫁さんが参ってしまってね。そうでなくても妊婦はナーバスになりやすいのに」
俊明とのことを知っているかのような口ぶりに、思わずまともに見つめ返してしまった。
「工藤くんのことも騙してるのかと思ったら穏やかじゃいられなくてね」
「騙してるなんて……」
義貴はどこまで知っているのだろう。その口ぶりでは、優生が俊明とつき合っていたとは思っていないのだろうが、淳史とはパートナーと言うくらいなのだから、認識しているはずだった。
にも係わらず、まるで優生を襲いそうな素振りを見せる理由が理解できない。もしかしたら、こんな所へ連れ込んだのは大げさなデモンストレーションに過ぎないのだろうかと、おめでたいことさえ考えた。
不意に、デニムの後ろポケットで携帯が微かに震え出した。音を消してバイブを最小に設定している優生の電話が鳴っていることに義貴は気付かないようだ。それを告げるべきか迷っているうちに振動は途切れ、自動応答に変わったようだった。
「工藤くんは鈍いのかな」
それが、優生と俊明とのことを気付いていないという意味なら大きな間違いだ。優生の演技力にも問題があったのだろうが、ものの何分と経たないうちに見抜かれてしまったのだから。
「聞いたところによると、君はずいぶん遊んでいるようだけど」
誰に何を聞いたら、そんな結論になるのかわからない。黒田に襲われかけた時にも、他にも相手がいるようなことを言われたが、それが誰を指すのかさえわからないというのに。
答えられない優生の、背けたままの顔を覗き込んでくる顔は冷たかった。
「そんなに男が好きなら相手してあげようかと思ってね」
「いやっ……」
顔を庇うように上げた手を、見掛け以上に強い力で捕らえられる。優男に見えても、義貴は捕食者の側なのだと改めて思い知らされた。
「本当にいい声だね、泣かせたくなるよ」
優生が抗うたびに同じようなことを言われるのは何故なのだろう。初対面の時の淳史の反応も同じだった。思えば、淳史が優生に構うようになったのは、それからではなかっただろうか。
「やめてください」
長い指が優生のシャツのボタンを器用に外してゆくのを、手首を掴んだくらいでは止められなかった。それほど頑丈そうには見えないのに、優生の力では跳ね除けることさえ叶わない。
「俺、俊明さんとはもう終わってるし、誰のことも騙したりなん、か……」
ふいに首筋へ触れてきた唇に、肌がびくんと震えた。今にも泣きそうな思いで睨み上げると、義貴は酷薄な笑みを浮かべた。
「そういう顔をすると効果的だとわかっててやってるのかな。君くらいの年で大人の男を手玉に取ろうなんて感心しないな」
「そんなこと……っあ、いや……」
確かめるように優しく指先が掠める。まるで、優生が胸が弱いと知っているかのように確信めいた手付きだ。
「純情そうなフリをして、ずいぶん色っぽい顔をするね。大抵の男はそれで落ちるのかな」
「っく……」
手慰みのように指先で転がされる先端が感じ過ぎるのが嫌で、優生は固く拳を握った。義貴の片手にさえ敵わない非力さを、口元へ上げた手の甲を噛む痛みで少しでも紛らわすことが出来たらと思った。
「手を離しなさい」
すぐに気付かれて、義貴の手が頬を掴んで甲を噛むのを止めさせる。そのまま頭上へと捻り上げられて、もう片方の手と一纏めにして押え付けられた。
「いや」
「参ったな、物凄く苛めたい気分になってきたよ。君は本当に性質が悪いな」
まるで優生のせいだと言わんばかりの言い草にカッとなったが、押え込まれた腕も乗り上げられた体も優生の自由にはならなかった。
義貴の片手の下で重ねられた両手首に、細い皮のような感触のものが巻き付けられる。縛られるという未知の不安に体中が震えた。
「いや、ほどいて」
「ダメだよ、どうやら君は自虐的なようだからね」
つい先日、淳史にM体質だと言われたことが頭を過った。これほど苦手とする義貴に弄られても快楽しか感じないかもしれないと思うと、情けなくて死んでしまいたくなる。
首を振りながら、覆い被さってくる体を止めようと闇雲に暴れた。至近距離から出した膝蹴りには大した威力はなかったはずだったが、義貴の気に障ったらしい。
「意外とお行儀が悪いね。足も縛って欲しいのかな」
義貴の膝に下肢の抵抗を封じられて、デニムからベルトが引き抜かれた。片方の足を曲げた状態で、今抜かれたベルトで絞められる。
拘束し終えると、義貴はゆっくりと優生の上へと体を倒してきた。
「いや」
近付く吐息に捕まりそうで、思わず顔を背けた。それを追うように、義貴の長い指が顎にかけられる。
「放してください」
「嗜虐心をそそるいい顔をするね、早く泣き顔も見たいな」
泣けば放されるのなら、泣き顔くらいいくらでも見せても構わない。ただ、義貴の好奇心と、優生の覚悟の間にはとてつもない隔たりがあるらしかった。
幸か不幸か、拘束されているせいでデニムのジッパーを外しても、脱がせてしまうことは出来ない。
「これじゃ脱がせられないね」
むしろ嬉しそうな口ぶりで、義貴が一旦身を離す。
ギリギリまでずらされたデニムから覗いた足の付け根に当てられた、冷たく固い感触にビクリと腰が引けた。
「暴れると手元が狂っても知らないよ」
それが鋭い刃だと本能的にわかっている。
「どう、するつもりなんですか」
「切るしかないだろうね」
「なっ……何を」
肌を掠めて、切っ先に力が籠るのを感じた。
「や、あっ……」
瞬間、思わず両目を固く瞑ってしまっていた。感じるはずの痛みがないことに、おそるおそる瞳を開く。優生の反応に満足げな義貴と目が合うと、また伏せるしかなかった。
「まさか、肌を切られるとでも思ったのかな?」
些かのためらいもない義貴が、厚いデニムを切り裂くつもりでいたとは思い至らなかった。
「怯えた顔も可愛いね」
楽しげな義貴と対称的に、優生の神経は疲れ切ってしまい、反論したり抵抗したりする気力が衰えていく。
目を閉じて、心を閉ざしていれば、やがて嵐は過ぎていくのだろうという諦めが心を過った。どんなに抗ったところで、優生には自分の身を守ることが出来ない。それなら、おとなしく体を自由にさせた方が痛い思いをせずに済むと、これまでの経験からわかっていた。
それでも、顎を捉える手に体が震える。どうしても、この紳士然としたアクマに身を任せるのはイヤだった。
「離して」
首を振ったとき、少し離れたテーブルで義貴の携帯が鳴った。
不意に、優生の体にかけられていた全ての力が抜ける。即座に携帯の方へ向かう義貴に驚いた。夢中で遊んでいた玩具を、新しい玩具を見せられた途端にあっさりと放り出してしまう幼い子供のように、優生への興味は一瞬で失せてしまったようだ。
恋人と接する時のような甘い声で応対する義貴の態度から察するに、よほど大切な相手なのだろう。それが彩華かもしれないと思うと複雑だったが、少しでも優生に対する執着を殺ぐことが出来るなら、感謝さえしていい気がした。あるいは、いくらでも取替えのきく玩具など、最初から気まぐれに手に取ってみようとしただけだったのかもしれないが。
穏やかで優しい表情のまま話し続ける義貴は、電話の相手に居場所を告げていた。手放しで歓迎するような口調に、このまま解放されるかもしれないことを期待せずにはいられない。
名残り惜しげに通話を終えた義貴が、少し離れた位置から優生を振り向いた。
「残念だけど、君と遊べなくなってしまったよ。大切なお客さまが来ることになったからね」
言葉ほど残念そうには見えなかったが、ひとまず難を逃れられそうなことにホッとした。
「こちらから招いておいて悪いけど、君とはまた日を改めて」
もう二度と会うこともないと思ったが、無事に逃げ果せるまでは余計な口ごたえはしないでおく。
やっと、義貴が優生の腕を解きかけたところでチャイムが鳴った。義貴が携帯を閉じてからまだ5分と経っていないというのに、客人は随分と気の早い人物のようだ。
こんな状況で客人を通されるのは我慢ならなかったが、義貴はその長い足であっという間に出迎えに行ってしまった。
帰すと言われた以上、義貴の気を逆撫でするようなことはしたくなかったが、この体勢はかなり耐え難い。せめて、露になった胸元と顔を隠そうと、身を起こしてソファの背凭れに寄りかかった。
「ずいぶん早かったね、さっき電話をくれたばかりなのに」
「ええ、一刻も早くと思ってましたので」
急かすように部屋へ入って来る人の話し声には聞き覚えがあった。
いつも耳に柔らかく穏やかなトーンで話す、淳史の友人のものだ。人好きのする笑みとは裏腹に、得体の知れない印象が拭いきれないのも、恐ろしく整った顔立ちも、義貴と血が繋がっていることを納得せずにはいられなかった。
近付いてくる二人を、肩越しに振り向いて窺う。親子だと知ってはいても、絵になり過ぎて、恋人のようにさえ見えかねなかった。まるで、女王様の機嫌を損ねないように付き従う義貴は、優生に対する時とは別人のようだ。
「ゆい……」
優生を認めた途端に、驚いたように柳眉を顰める、麗しいと言っても差し支えない人が駆け寄ってくる。
「こ、こんにちは」
暢気に挨拶をするような状況ではなかったが、咄嗟に他の言葉は思いつかなかった。
義貴は、驚いたように義之と優生を見比べている。
「義之とも知り合いだったのか」
「ゆいは僕の恋人の家庭教師なんですよ。それにしても、淳史から連絡を受けた時にはまさかと思いましたけど、本当に節操のない人ですね」
ぞっとするような目で義貴を睨みながら、義之は上着を脱いで優生の上体に掛けた。先に足を留めたベルトを外してから、胸元へ抱きよせるようにして縛られた手を解く。少しでも視界に入れないように気遣ってくれたのだろうが、触れられた所から自然と震えてきてしまう。
「どういう意味かな?」
優生の姿を目の当たりにされているというのに、涼しい顔で問いを返す義貴の厚顔さが腹立たしい。
「淳史は、ゆいと連絡が付かなくなると居場所を探すんですよ。ここだとわかった時点で、僕に連絡があったんです。ここのことは淳史も知ってますからね」
「どうしてここだとわかったのかな?」
「ゆいの携帯はGPS対応なんですよ。往診に行ったと聞きましたけど、その時から目を付けていたんですか?」
「目を付けていたわけではないよ、確かに綺麗な子だとは思ったけれどね。その綺麗な子と俊明が浮気をしていると彩華に泣きつかれたんだよ。ずいぶん我儘な子で工藤くんも手をやいているようだったし、調教してあげようと思ってね」
悪びれる様子もなく開き直る義貴に、義之はやれやれとでも言いたげに首を振る。
「会ったんならわからなかったんですか? 淳史がこの子のことをどれほど大切にしてるのか」
「凄く我儘を言っていたしね、大変なのに捕まってしまったんだろうと思っていたんだよ」
「我儘? 淳史にですか?」
「そうだよ、私にもだけどね。早朝からわざわざ往診に行ったっていうのに、子供みたいにダダをこねて私に触られるのもイヤだって」
「ゆいは敏感だから、あなたの下心に気が付いたんじゃないんですか?」
「その時はまだ何も知らなかったし、純粋に診察してあげようと思っていたんだよ」
では、優生が普段通り真面目を装っておとなしく診察を受けていれば、この事態を回避できたかもしれないということだろうか。
「すぐに淳史も来ますからね。言い訳は淳史にしてください」
冷ややかに言い捨てたあと、義之は優生の方に向き直った。
「バスルームを借りる?」
「……いえ」
できれば、一分でも早くここから抜け出して、淳史の所へ帰りたかった。
「着替えた方がいいかな」
「このままでいいです」
切られた部分はデニムの内側だけで、乱れたシャツを整えれば、そう気にならないだろうと安易に思っていた。
服を直す優生を背後に庇うようにして、義之は義貴に視線を向ける。
「お義姉さんに何を吹き込まれたのか知りませんけど」
「義之は彩華のことになると厳しいな」
犯罪を犯したなどとは露ほども思っていないらしく、義貴の態度はふてぶてしい。
「俊明は離婚してから、ゆいとつき合ってたんですよ。子供ができたと言って俊明を取り上げたのはお義姉さんとあなたの身勝手でしょう? 子供の父親のことで悩んだ俊明がゆいに気持ちを戻したとしても、責められるべきなのはこの子じゃない」
「……どうして」
義之が何もかも知っているのかが不思議で。
「もうすぐ淳史が来ると思うからちょっと待っててくれないかな? 今はこの怖いおじさんを叱っておかないといけないからね」
「義之、怖いおじさんはないだろう」
「エロオヤジの方が良かったですか?」
「ひどいな……エロいのは私じゃなくてこの子の方なのに」
「こんなに怯えさせておいて何言ってるんですか。淳史が来たら、2、3発殴られるくらいの覚悟はしておいた方がいいですよ?」
「まだ何もしてないのに」
「何言ってるんですか。縛って脱がせておいて、何もはないでしょう。こんなにして、どうやって帰すつもりだったんです?」
「暴れるから先に縛ったんだよ、縛ったら脱がせようがないだろう?」
「救急搬送されてきた患者じゃないんですからね、着てるものを切っちゃダメですよ」
「拙かったかな」
「レイプしようとしたようにしか見えませんよ? 僕にも淳史にも」
「ちょっとお仕置きしてあげようと思っただけだよ」
緊迫感のないかけあいを遮るように、チャイムが鳴った。



- Jealousy In Love(7) - Fin

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