- Bittersweet Honey.4 -



「お父さん?」
嫌味なほどの優生の呼びかけにため息が出そうになる。
淳史が強行に養子縁組させたことを優生はまだ納得できないらしかった。
「おまえの父親になった覚えはないんだが」
「何言ってんの、お父さんになったんでしょ」
親子になりたいのか兄弟になりたいのかだけは優生に選ばせてやる、と言った自分の言葉を少し後悔しないでもない。淳史の親と係わったり、付随してくる相続の問題などを嫌がった優生は、二者択一で躊躇なく親子関係を選んだ。
「名目上はそうかもしれないが、そういう言い方をするなよ」
「でも、パパって言うといやらしい感じがするでしょ」
実質はその方が近いのかもしれなかったが。
優生がわざとそういう態度を取っているとわかっていても、正直なところ不安に思わないでもない。
「そういうことを言ってるんじゃない、俺は結婚してくれと言っただろうが」
何度同じ台詞を言っただろうか。その度に、優生に突っぱねるような言い方をされた。もし薄っすらと頬を染めるのを見過ごしていれば、本気で嫌がられていると思ってしまったかもしれない。
「何度も言わせたいのか?」
「そんな、こと、ないけど……」
口ごもる優生に、図らずも真実を言い当ててしまったらしいとわかった。
「聞きたいんなら毎日でも言ってやる」
耳まで真っ赤にした優生に、ようやく淳史は勝利を確信した。



- Bittersweet Honey.4 - Fin ( H19.1.5.up )

Novel


養子縁組ですが、18歳以上だと親の意思に係わらず、
原則として当事者の意思でできるんだそうです。
もちろん、優生の親の了承はもらってるはずですが。
毎日プロポーズなんて、誰かさんみたいですね(^^ゞ