- Bittersweet Honey.3 -



「おまえ、17じゃなかったのか?」
優生が書きかけている書面を覗いて驚いた。
「淳史さん、いつの話してるの?」
「初めて会った時に……」
言いかけて気が付いた。会った時でも高校3年生だった優生が、いつまでも17歳のはずがない。
「いつだったんだ?」
ためらうような顔をする優生を軽く睨んで促す。淳史が知らなかったのは、まだ俊明とつき合っている時だったからなのだろうと勝手に思った。
「……3月29日」
「何で言わなかったんだ!」
思わず声を荒げてしまっていた。3月29日といえば、優生が家出をした翌日のことだ。びくりと身を竦める優生が口をつぐむ。
「まさか、あの男と祝ったなんてことはないだろうな?」
「そんなわけないでしょ」
いくら忙しかったとはいえ、今まで尋ねようともしなかった自分の愚鈍さに腹が立った。
「何か欲しいものはあるか?」
「ううん」
そう言うだろうと思っていたが、やはり優生には物欲などなさそうだ。
「何か考えろ」
「充分してもらってるし」
含羞むように目元を染める優生に悪い気はしなかった。
「でも、俺の時にはもらうからな?」
「うん?もうすぐだよね」
優生の答えに驚いた。話した覚えはなかったが。
「何で知ってるんだ?」
「普通、知ってるでしょ」
当然だといわんばかりの優生の態度に、淳史の分が悪くなる。それでも、淳史は強気を崩す気はなかった。
「知ってるんなら覚悟しとけよ?」
気安く頷く優生に、その意味は伝わっていないのかもしれない。淳史が優生を法的にも手に入れるまで、あと何日もなかった。


- Bittersweet Honey.3 - Fin ( H18.12.20.up )

Novel


というわけで、淳史は誕生祝に優生を嫁にもらうということで。
まあ、とっくに淳史のものになってたようなものですが。