- Bittersweet Honey.2 -



「あ、伸びてる」
一緒に行ったジムで、何気なく優生に測らせた身長は164センチちょっとだった。
「縮んでるんじゃないのか?」
優生の身長は確か165センチではなかったか。
淳史は驚いて測り直させようと思ったのに、優生は少し恥ずかしそうに笑った。
「ううん。1センチくらいだけど伸びてる」
ふと心配になって尋ねてみる。
「……体重は?」
「ん、と47キロくらい?」
体重計を覗く優生の表情がホッとしたように緩む。
「それも増えてるなんてことないだろうな?」
「ちょっと増えてるかも」
体重も淳史が思っていた以上に軽かったようだ。
「おまえ、本当に不健康過ぎるぞ。ちゃんと食って鍛えて肉つけろ」
「うん」
それがただの相槌に過ぎないことなど淳史にもわかっている。
「スパーリングの相手ならいつでもなってやるからな」
「遠慮しとくし」
即答する優生の腕を掴んで促すような素振りをすると、少し邪険に振り払われる。
「淳史さんヘビー級でしょ。タッパだって全然違うのに」
「ライトヘビーだ。別に本気でやろうと言ってるわけじゃない」
「絶対やだ」
小さな頃から気を遣ってばかりいたというわりに、優生は淳史には容赦がない。
「おまえ、俺にはハッキリものを言うよな」
何かを言いかけた優生の唇が結ばれる。咄嗟に憎まれ口は出てこなかったようだった。代わりに、優生の頬が薄っすら染まる。
淳史が特別なのだと思うのは決して自惚れではなさそうだ。思わず人目を忘れて俯く優生を抱きよせた。


- Bittersweet Honey.2 - Fin ( H18.12.5.up )

Novel


ムリヤリ終わらせてごめんなさい、延々と続きそうなので。
甘くない恋人との甘い話、というコンセプトで書いてるつもりなのですが、
なかなか思うように動いてくれません……。